【製造業診断実習レポート】論理的思考で学ぶ企業診断の本質
【製造業診断実習レポート】企業診断に正解はあるのか?
6月から9月にかけて、指導員として2つの製造業企業診断実習を担当しました。長丁場でしたが、受講生と共に現場で学びを積み重ね、ようやく一区切りとなりました。この記事では、実習を振り返りながら「企業診断の本質」と「正解はあるのか?」という問いについて考えます。
現状把握と仮説検証の繰り返し
企業診断の指導は、まさに論理的思考の訓練です。
- 現状把握で多くの事実・データを収集する
- 仮説を立てて検証を繰り返す
- 問題を構造化する
- 重要な要因を選定し、課題対策の方向性を整理する
- 対策案をスケジュールや期待効果に落とし込み、報告書にまとめる
このように「発散」と「集中」を行き来しながら、事実・問題・対策案が因果や並列といった関係性をもってつながっていきます。
発散と集中のサイクルが成果を生む
診断のプロセスでは、一度に正解にたどり着くことはありません。
- 事実を集める → 発散
- 仮説を検証する → 集中
- 対策案を考える → 再び発散
- 絞り込みと整理 → 集中
こうしたサイクルを回すことで、現場に根差した課題解決策が見えてきます。そして最終的な診断結果は、経営者の意思決定によって実践に移され、リアルな経営改善につながっていくのです。
企業診断に正解はあるのか?
受講生からよく質問を受けます。
「企業診断に正解はあるのですか?」
私の考えでは、正解・不正解を決めるのは経営者です。結果が出る前に、誰かが一方的に「正解」と言うことはできません。
ただし、経験を積んだ診断士同士であれば、不思議と同じ問題意識や課題解決の方向性を持つようになります。その意味では「一定レベルの正解」は存在すると言えるでしょう。
ニュートラルに、フラットに
診断士が注意すべきなのは、無理に自分の得意分野へ導いたり、商売っ気を出すことです。そうすると診断は歪んでしまいます。
ニュートラルに、フラットに、そして真に企業の成長を願う姿勢を持つことで、正しい方向性にたどり着けるのだと思います。受講生には、その姿勢も学んでほしいと願っています。
まとめ
- 製造業診断実習は、論理的思考を鍛える場である
- 発散と集中を繰り返すことで、現実的な課題解決策が生まれる
- 企業診断に絶対的な正解はないが、一定レベルの共通解はある
- 大切なのはニュートラルな姿勢と、企業の成長を願う気持ち
診断実習を終えて改めて感じたのは、企業診断は机上の理論ではなく、経営者と共に作り上げていく営みであるということでした。